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アメリカ アウトブレイクの予防線となるか 衛星データと機械学習による感染症流行予測の実現性

世界各国のSDGs事例や、技術・政策・ビジネスモデルなどをお届けする「世界のSDGs・ニュースヘッドライン」の中から、より興味深いトピックをひとつ選び、掘り下げてご紹介するこのコーナー。

今回は、アメリカより「アウトブレイクの予防線となるか 衛星データと機械学習による感染症流行予測の実現性」について詳しくご紹介していきます。

COVID-19、今後も散発的な流行の可能性

日本を含め、一部の国では既にピークアウトしているCOVID-19だが、今後は季節性インフルエンザのように散発的に流行する可能性があるとみられている。

分子微生物生態学を専門とする、メリーランド大学カレッジパーク校のRita R. Colwell教授と同大学研究チームは、人工衛星から得られるデータを用いて、次のアウトブレイクがいつ、どこで起こるのかを予測する研究を行っている。

感染症と環境の相関性

人類初となる人工衛星が1957年に打ち上げられてから60年以上が経過したが、地球観測データが世界の公衆衛生に活用されるようになったのは、20年ほど前のことだ。

2000年代初め、Colwell教授は地球観測プログラムLandsatから送られてくるデータを分析し、「コレラと環境との関連性」を特定することに世界で初めて成功した。コレラは細菌に汚染された水や食品を摂取することで感染する経口感染症であるが、教授らは植物プランクトンの大量発生と、その葉緑体に含まれる緑色の色素クロロフィルの濃度が、コレラの流行と直接的な因果関係にあることを解明している。

「衛星は非常に貴重な情報源です。現在我々は6つの衛星から、人の移動、海面温度、海面の高さなどさまざまなデータを引き出すことができます」とColwell教授は語る。「グローバルな観測システムを活用すれば、感染症の潜在的なアウトブレイクを予測することが可能になるのです」

アウトブレイクの予測モデルを構築中

Colwell教授は現在、中国・イタリア・スペイン・アメリカから提供された疫学調査結果に機械学習を適用し、衛星から集めた気温、湿度など自然環境との相関性を探る作業を進めている。予測モデルが構築されれば、感染リスクが高い地域に警告を発したり、医療リソースを重点的に配置するなど、具体的な策を講じられるようになる。

マサチューセッツ大学アマースト校環境衛生学部長のTimothy E. Ford氏は、「野生動物の売買や食肉の取引などを通じて伝染するウイルスの発生を予測することは難しい」としながらも、「環境に起因する病原体については、衛星は強力なツールとなるだろう」と期待を寄せている。

今なお世界規模で拡大している新型コロナウイルスに関しても、効果的な支援や終息への道のりを描く手段となるに違いない。

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SciDev.Net(Global)(著者:Fiona Broom)

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