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企業のSDGsを後押し 滋賀銀行の取り組みに迫る

記事提供:環境ビジネス

滋賀銀行 取締役頭取
高橋 祥二郎氏

ESG地域金融を推進していくうえで、重要な役割を担っているのが地域に精通している地域金融機関である。滋賀県を拠点として活動を行う滋賀銀行はESG地域金融を銀行経営の要と位置付け、地域に根付いた環境経営に取り組んでいる。地域金融機関として、どうESG地域金融に寄与するのか。同行の取締役頭取である高橋 祥二郎氏に聞いた。

近江商人の商道徳、『三方よし』の精神

琵琶湖を擁する滋賀県(© iky_photography / amanaimages PLUS)

1933年に設立された滋賀銀行。CSRにいち早く取り組み、環境・福祉・文化を3本柱としてCSR経営を行ってきた。特に環境については業界に先駆けて取り組みを開始し、2017年には地方銀行初となる『SDGs宣言』を行い、社会的課題解決に向けたビジネス創出を支援している。

同行が早くから環境経営に取り組んできた背景には、滋賀県の地理的要因が大きい。滋賀銀行が本拠を置く滋賀県の面積の2分の1は森林であり、また6分の1は近畿エリア1,450万人の貴重な水源となっている琵琶湖が占めている。琵琶湖は世界で3番目に古い湖で、『マザーレイク』とも呼ばれている。こうした豊かな自然を暮らしの背景としている県民や県内企業の間には高い環境意識がある。

また近江商人にルーツをもつ同行には、「売り手よし」「買い手よし」「世間よし」の『三方よし』という商道徳が根付いている。「商いは、当事者が良いだけではいけない。社会が良くなることが大切であり、ひいてはそれが自分たちに還ってくる」というものだ。

「滋賀銀行の環境経営のベースには『三方よし』の精神があります。周辺の環境を守ることは活かすことにつながります。地域金融機関の役割として、『お金の流れで地球環境を守る』という気概を持って、環境経営に取り組んでいます」(滋賀銀行 取締役頭取 高橋祥二郎氏)。

本業として、ESG地域金融に挑む

現在、同行はESG地域金融として、SDGsに貢献する社会的課題解決型の新規ビジネスに取り組む企業を資金だけでなく、情報提供やコンサルティングなどでも支援している。

「これまで開催していた『エコビジネスマッチングフェア』を、今年から『SDGs ビジネス・マッチングフェア』に拡大して社会的課題解決型ビジネスを幅広く応援しています。またお取引先の経営にSDGsを取り入れていただけるよう『SDGsコンサルティング』も行っています。初めはSDGsをお客様に理解してもらうことから始めましたが、徐々に理解も広がり、現在はそれをビジネスにつなげていただくための支援を行っています」

地域循環共生圏へ向けた、滋賀銀行の取り組み

同行は、長期的な視点に基づき、地域活性化に貢献する企業に対する金融支援を行っている。その背景には、従来通りの価値観では、人口減少が進む時代に対応できないという危機感があった。

滋賀銀行の地域活性化に向けた主な取り組み
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滋賀県は全国では数少ない人口増加県だが、4年前から人口減少が始まった。2030年の統計予測では県人口は約4万人減少、名目GDPは約4,000億円減少するという。廃業の増加、地域縮小が進むという危機を打破するためには、新たな需要を創造しなくてはいけない。そのためには、いままでのような銀行主体の目線ではなく、中長期的な社会基点での取り組みが必要だと考えた。

また同行は、今後の地域におけるビジネスは「『競合』するのではなく、『共創』する時代である」と語る。滋賀県のやり方が他の地域でも通用するとは限らない。その地域の資源をその地域で活かす、循環型の『地産地消』スタイルが求められているという。そこでは、かつてのように限られたパイを奪い合うような『競合』は存在しない。あるのは『共創(共に創る)』なのだ。

「2018年に設立された産官金連携の組織『滋賀SDGs×イノベーションハブ(しがハブ)』では、商売上は競争相手である関西みらい銀行さんとともに人材などを提供し、垣根を越えたパートナーシップのもとで滋賀の課題解決型ビジネスの取り組みをサポートしています。地域の課題に対して互いに責任をもってやっていくこと、これが持続可能な発展につながる、私たちの求めるESG地域金融です」(高橋氏)。

そして高橋氏は、ESG地域金融を、あくまでもビジネスとして推し進めることが肝要であると解説する。

「環境経営はビジネスと捉えて取り組まなければ長続きせず、事業の継続性が疑わしくなってしまいます。長期的なビジョンの中で、しっかりと収益を上げながら好循環させることが重要です」

SDGsを地域単位の言葉に置き換えるなら、地域活性化や地元の方にとっての価値ある暮らしにつながることだ。社会的課題解決という共通テーマに対し、地域金融機関と地域企業がともに挑む。そのうえで、それぞれが適正な利益を上げ、地域が元気になる。その地域に根ざした地域金融機関の役割は、今後ますます重要になってくるだろう。

記事の公開期限:2020年07月18日

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