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これからの配送は『返却&再利用』 SDGs時代にマッチする新たなツール

記事提供:環境ビジネス

今では私達の生活に不可欠なネット・ショッピングや宅配サービス。欧州では、伝統的に環境意識が高かったが、気候変動や海洋ごみ問題が実感されるここ数年、循環経済への転換気運が勢いを増している。そんな中、ネット・ショッピングによる梱包材やパッケージに対し、欧州市民は嫌悪感すら抱く。RePackはこれに着目。梱包・配送の選択肢にRePackを提供するネット販売業者を募り、返却・再利用できる梱包・配送システム構築を広げている。

ネット販売業者と心ある消費者を仲間に

SMLサイズのRePack封筒。ネット販売会社には、返送用あて名書きと料金前払いステッカーとともに100 枚単位で提供される。
©Original RePack

RePackが開発したのは、配送用封筒(S・M・Lサイズ)とこれを回収し整えて再利用する仕組みだ。ネット販売業者はその仕組み全般を有償で購入し、ネット上のお客様からの購入画面で、選択肢として「RePack封筒による配送(これも有償)」を用意する。これを選んだ顧客は、RePackの黄色の封筒に入った商品を受け取った後、指示に従って封筒を折り畳み、同封された返送シールを貼ってポストに投函する。

封筒はRePackの返却ポイントに集められ、可能なものは手入れして再利用に回され、損傷のひどいものは再生される。ネット販売業者は、RePackを選んでくれた顧客に特典バウチャーなどを発行すれば、顧客の囲い込みや新規顧客獲得のツールとして、あるいは主旨に沿ったチャリティ献金などに紐づけするなどマーケティング効果も抜群と好評だ。

RePack封筒は平均20回使用できるようにつくられており、Repackの計算では廃棄物削減率で96%、CO2削減率で80%も地球社会に貢献するという。同社は2011年、持続可能な社会のための産業デザイン事務所としてスタートし、郵便ロジスティックの最適化などに従事。今日までに欧州では14カ国、50のネット販売業者で導入された結果、返却率80%、顧客満足度76%を達成。北米でも4つのネットショップとパイロットテスト中だという。

SDGs時代のコンセプトに合致

RePackを発想したフィンランドや封筒返却拠点を置くエストニアなどは、長く寒い冬や厳しい自然地理環境から、ネット販売や電子決済の需要が早くから顕在化し、その利用度が著しく高く、また地球環境や気候変動への市民の意識も驚くほど進んでいる。最近では、スイス、ドイツ、オーストリア、オランダなどがこれに続き、特にSDGs時代に入ってからは、欧州全体で、廃棄物ゼロ社会実現、循環経済への転換の勢いが猛烈に高まっている。

北欧や北ヨーロッパのネット販売業者には、エコロジーや廃棄物ゼロなどの確固たる理念を持ち、それを明確に打ち出しているところが多い。RePackは、こうした業者が探し求めていた自身の理念にあう梱包・配送方法の選択肢としてぴったりフィットしたのだろう。

現在、RePackの配送サービスを利用するのは、たとえば、「耐久性や防寒性など素材の機能性を重視したアパレルメーカーMAKIA」や「地球を愛する人のためのジーンズMud Jeans」などのように、エコロジーや持続可能性などにこだわるネット販売会社50社あまりに拡大している。RePackでは、今日的なゴミ問題や気候変動を憂う消費者をターゲットする企業には、ブランドイメージ向上に貢献すると自信満々だ。

Lサイズの封筒も折りたためばコンパクト。返送用ステッカーを貼ってポストに投函するだけ。

RePackのコンセプト概念図
©Original RePack

欧州では、5~6年前から、循環経済への転換を社会全体で加速させるために、イノベーティブなアイデアや起業家を奨励するさまざまな賞やコンクールが盛んに開催されている。RePackは、気候変動抑制に貢献するベンチャー企業に贈られるClimate KIC Venture Competitionや、循環経済スタートアップのためのGreen Alley Awardなど数々の賞を受け、廃棄物ゼロを推進する欧州市民運動団体Zero Waste Europeからも高い期待がかかる配送・梱包部門のホープだ。

RePackのITチームとコミュニティがサポート

それにしても、中小規模のネット販売業者がそのサイトにRePack選択肢を組み込むのは敷居が高いのではないだろうか。顧客への説明やクレーム対応も不安かもしれない。RePackでは、経験豊かなITやサービスのチームが、ネット販売ページにRePackの選択肢を組み込んだり、顧客の不安や質問に対応するためのノウハウサービスも提供する。RePackの費用は、原則として、顧客が有償で選び支払うものなので、業者の経費負担はほとんどない。顧客へのボーナス・バウチャーを発行すれば、その利用率は60%と高く、リピートや新規顧客獲得につながる。さらに、RePack利用業者コミュニティの一員として、RePackのサイトやSNSなどを通じて情報拡散や広報されるメリットもある。

地域密着型ビジネスモデル

持続可能な循環経済のためには、配送距離は短かければ短いほど望ましいことになる。そういう意味でも、PePackのビジネスモデルは、アマゾン的な巨大国際ネット販売よりも、まずは、地域に密着し明確なコンセプトを打ち出す中小業者に向いているといえるかもしれない。封筒の返却ポイントも、海を越え大陸をまたぐよりは、ある程度の地域的まとまりごとに拠点が置かれることが望ましい。そこで、RePackの封筒返却ポイントは、現在のところ、欧州と北米に置かれている。そこでは、社会的弱者が、合理的配慮のもと、適正な賃金を受け取って働ける作業場としての機能も提供する。

2015年、中国でデザイン・インテリジェンス・アワードを受賞したことも手伝って、ここ数年、アジアからのRePackへの引き合いが急増しているという。「おもてなし」の心を具現する丁寧で美しい包装を尊ぶ日本――ここでも、地球の未来のために、RePackの黄色い封筒による簡素な包装を喜ぶ消費者が増えるだろうか。RePackは、日本市場にも強く期待している。

記事の公開期限:2020年07月25日

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