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経産省、「カーボンプライシング」制度設計へ検討開始 国境調整措置等も視野

記事提供:環境ビジネス

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経済産業省は2月17日、炭素排出に価格をつけ排出者の行動を変容させる政策手法「カーボンプライシング」について、制度設計の方向性を議論する研究会の初会合を開いた。炭素税や排出量取引制度のみならず、国境調整措置、クレジット取引なども含めた広い視点で議論を進めるという。5月までに5回程度開催し、夏ごろをめどに中間整理、年内に一定の方向性の取りまとめを行う予定。

2020年12月に公表された「グリーン成長戦略」では、「成長戦略に資するもの」については、既存制度の強化や対象の拡充、新たな制度を含め対応を検討することを明記している。研究会では、日本にとって「成長に資するカーボンプライシング」とは何か、有識者や経済界からのヒアリング等を通じた、ファクトベースでの議論を進める考え。

「魔法の杖」は存在せず ポリシーミックスが必要

カーボンプライシングの全体像(出所:経済産業省)

事務局は、カーボンプライシングが「成長に資する」ためには、企業や消費者への行動変容により日本(世界全体での排出量の約3%)での脱炭素化を促進するだけではなく、産業の競争力強化やイノベーション、投資促進につながり、世界全体での脱炭素化に寄与するものでなければならないと説明。

また、欧米が、気候変動対策の不十分な国からの輸入品に対し、炭素排出量に応じて水際で調整措置を講じる「国境調整措置」について検討を進めるなか、公正な競争条件を確保する観点も必要だと指摘した。

さらに、これらを全て満たす一つの手法(魔法の杖)は存在せず、脱炭素化の段階に応じたポリシーミックスが必要であり、「炭素税か、排出量取引制度か、自主的取組か」という、従来の議論を超えた検討が必要だと示した。

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(出所:経産省)

世界全体でいかに「2050年カーボンニュートラル」を目指すか

世界各国では、2050年までのカーボンニュートラルを目指す動きが加速している。日本も2020年10月、菅義偉内閣総理大臣が、就任後初の所信表明演説で「成長戦略の柱に『経済と環境の好循環』を掲げ、グリーン社会の実現に最大限注力していく」と述べ、「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」と表明した。

各国では、自国だけでなく他国も巻き込み、世界全体でいかにこの目標を実現するかという観点で検討が進められている。

欧州では国境調整措置を検討。6月までに制度詳細を公表し、2023年までに導入を目指すことを明らかにしている。米国バイデン政権でも、公約の中で国境調整措置について言及している。

同様の動きはグローバル企業にも広がりつつある。サプライチェーンの下流に位置する企業から上流の企業に対し脱炭素化の要請があり、日本企業も再エネ由来電力などのカーボンフリーの電気を調達することや、スコープ3(サプライチェーンの排出量)でのオフセット等の対応が求められている。

なお、環境省でも同様に、カーボンプライシング導入に向けた議論が進められている。

 

記事の公開期限:2021年04月25日

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