化学メーカーBASFも脱化石燃料の方針発表 生産プロセスを100%再エネに
BASFは1月10日、既存のプロセスを継続的に最適化しながら、今後、化石燃料を再生可能エネルギー源に徐々に置き換え、根本的に新しい低排出ガス生産プロセスを確立させると発表した。
化学メーカーは通常、化学反応のために膨大なエネルギーを必要とする。その最大のエネルギー源は化石燃料であり、大きなCO2排出源だ。しかし同社は、気候変動対策に向けたCO2排出量の大幅削減を目的に、すべての生産プロセス作業から化石燃料を排除する方針だ。
再エネ転換と同時に新技術開発を進行
この意欲的な戦略を達成させるために、同社は4つの革新的なカーボンマネジメントプログラムを推進させるプロジェクトを推進している。
また同社では、生産プロセスを再エネ100%に置き換える戦略が、広範囲にわたる研究開発活動に新たな可能性を切り開くとしている。同社の取締役会会長兼CTO(最高技術責任者)のDr. Martin Brudermüller氏は下記のように述べている。
「気候変動に関する目標を達成するためには、CO2排出量の大幅な削減が必要になります。CO2は、原材料としては特定の用途にしか適しておらず、それらの用途では気候変動を遅らせるほど大量には消費できません。CO2排出量の大幅な削減を達成するには、まったく新しい技術が必要になります。BASFが意欲的な研究開発プログラムを開始したのはそのためです」
ナフサ分解を電力にすればCO2排出量を9割削減
たとえば、同社におけるナフサ分解(水蒸気分解/スチーム・クラッキング)プロセスでは、ナフサをオレフィンと芳香族化合物に分解するため約850℃の温度を必要とする。もしこのエネルギーを天然ガスではなく再生可能エネルギーから得られれば、CO2排出量を約90%削減できる可能性がある。
このため同社は、世界初の「電気加熱で水蒸気分解するシステム」を今後5年以内に開発することを目指す。同時に、高電流に耐える金属材料の研究、高温反応器に適した材料試験を実施する。
「天然ガス→水素+炭素」生成も新技術を開発へ
また、多くの化学メーカーではアンモニアの合成などに大量の水素を使用している。同時に、水素は再生可能エネルギーの運搬・貯蔵用の媒体として期待されている。
これらの両目的を解決する手段として、同社は天然ガスから水素を製造するための新プロセス技術を開発中だ。この「メタン熱分解プロセス」は比較的少ないエネルギーしか必要とせず、天然ガスを直接水素と炭素に分解する。このエネルギーが再生可能エネルギーなら、CO2排出ゼロでの水素製造が可能になる。得られた炭素についても、鋼鉄やアルミニウムの製造に使用することも可能だ。
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