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農林省・経産省、林業と木質バイオマス発電の「成長産業化」に向け報告書公表

記事提供:環境ビジネス

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農林水産省と経済産業省は10月16日、木質バイオマス燃料の供給元としての森林の持続可能性確保と木質バイオマス発電の発電事業としての自立化の両立に向けた方策を取りまとめた研究会の報告書を公表した。

報告書では、再生可能エネルギーとしての木質バイオマス利用の大前提となる「持続可能性」や「コスト低減」、「安定供給」に関する視点に着目。(1)早生樹・広葉樹の活用を含む森林資源の持続的活用、(2)熱利用の推進、(3)燃料の品質安定化、(4)燃料の加工・流通・利用の在り方・実態把握、(5)既存の木材利用との競合に係る懸念払拭、(6)その他―の6点について、対応の方向性と今後の取り組みについてとりまとめた。

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(出所:林業・木質バイオマス発電の成長産業化に向けた研究会資料 )

6テーマで対応の方向性と今後の取り組みを提示

研究会が報告書で整理した、対応の方向性は以下の通り。

(1)森林資源の持続的活用(早生樹・広葉樹の活用を含む)

  • 持続可能な木材利用の担保を前提とし、林業収入を最大化するため、全木集材や山土場、中間土場の活用による収集・運搬の効率化等により、枝条等を効率的にフル活用する仕組みを導入
  • (a)広葉樹・早生樹など燃料用途として有望な樹種の特定、(b)確実な更新を前提とした皆伐など主伐手法の確立、(c)移動式チッパーの活用等による木質バイオマス燃料の生産を主とした新たなビジネスモデルの確立、これらに資する実証等を検討

(2)木質バイオマス熱利用の推進

  • 「地域内エコシステム」による取り組みをベースに、熱利用・熱電併給のさらなる普及に向けた木質バイオマスの供給側と需要側の様々な課題を解決するための検討を継続
  • 限りある森林資源をより効率的に燃料利用するため、熱効率を踏まえた利用が重要。そのことを森林・林業政策とエネルギー政策に反映
  • 熱利用・熱電併給の普及には、各種制度の改善の検討、まちづくり計画や地方創生、地域循環共生圏の取り組みとも関連することから、関係省庁と連携

(3)木質バイオマス燃料の品質安定化

  • 燃料品質の差別化が可能な燃料品質等に関する統一評価指標や、デジタル技術を活用した市場取引の枠組みの検討

(4)木質バイオマス燃料の加工・流通・利用の在り方・実態把握

  • 木質バイオマス燃料に関する流通等の実態を効率的に把握し・可視化する方策を講じる
  • ライフサイクルGHGの観点から、地域資源である木質バイオマスの適正な利用範囲等を検討
  • 合法性やトレーサビリティを確認する手段(デジタル技術の活用等)を現場の負担の少ない形で検討

(5)既存の木材利用との競合に係る懸念払拭

  • 固定価格買取制度(FIT制度)における事業計画認定の中で、木材の安定調達の観点から確認を行っている都道府県林政部局等による確認を強化、また、事業計画に基づき燃料材の調達を行う発電事業者と、その供給を行う事業者は、FIT認定後もその確実な履行を遵守するよう周知を徹底
  • 剪定枝等の未利用材や、既存の木材利用と競合せずこれまで燃料用途で活用されてこなかった樹種の活用に向けた取り組みや生産・供給体制の整備等を推進することにより安定供給可能な燃料用途の木材量の確保

(6)その他

  • 先行的な取り組みを進めている真庭市や欧州等の取り組み(政策や事業キャッシュフロー等)の分析・検討を継続
  • 木質バイオマスのエネルギー利用のエンジニアリング面の強化や人材育成の方策を検討
  • RE100やSDGs実現を目指す地域への先進事例の横展開
  • レジリエンスの強化やエネルギーの地産地消に資する木質バイオマス発電を推進
  • 建築物の木造化・木質化の加速に伴い発生する端材等を木質バイオマス燃料として利用

今後、両省で、この報告書を踏まえ、施策を推進していく。

木質バイオマス発電の課題解決へ両省で検討

同研究会では木質バイオマス発電を、(1)エネルギー自給率の向上、(2)災害時等におけるレジリエンスの向上、(3)日本の森林整備・林業活性化等の役割を担い、地域の経済・雇用への波及効果が大きい等の多様な価値を有する電源だと位置付けている。他方、木質バイオマス発電のコストの7割を占める燃料費の低減に加え、木質バイオマス燃料の安定供給における持続可能性確保の観点からの課題が存在する。

そこで、両省は、「林業・木質バイオマス発電の成長産業化に向けた研究会」を設置し、これらの課題解決に向けた方策について7月から10月にかけて3回検討を行い、報告書をとりまとめた。

記事の公開期限:2020年12月12日

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