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3年連続SDGs国際ランキング 1位の国「スウェーデン」の秘密

記事提供:環境ビジネス

3年連続でSDGs国際ランキングで1位を獲得しているスウェーデン。その秘密は一体なんだろうか。SDGsジャーナリストとして活躍しているペオ・エクベリ氏に、スウェーデンの教育や社会活動の紹介を通して、同国に根づくサステナビリティの高さなどについて解説いただいた。

なぜスウェーデンはサステナビリティ分野で世界をリードしているのでしょう?

まず日本との違いを感じるのは、スウェーデンでは、問題を個別に対処するのではなく、問題の根本を見極めようとします。その際によく取り上げられるのが、環境循環です。

スウェーデンでは、子どもから大人までこの環境循環に基づくサステナビリティ教育が行われています。

環境循環サステナビリティの原理原則

環境循環は、地球が生まれてから46億年という長い年月をかけてできた自然界の循環のことです。

たとえば、太陽エネルギーを得て植物が育つ→草食動物が食べる→肉食動物が食べる→動物からのフンや死骸を微生物が分解する→水や土の栄養となる→植物が育つといったことです。

環境循環
スウェーデンの企業や自治体など大人向けの教育で、このような図が用いられる

日頃あまり意識することはありませんが、私たちが食べ、飲み、使っているものも、元々はすべて自然がつくり出したものです。これらの資源や廃棄物が、どこから来て、どこへ行くかを考えると、この環境循環に当てはまっているかどうかがわかります。

この循環がうまく機能していれば問題ないのですが、現在、私たち人間の暮らしや経済活動はこの環境循環を乱しており、さまざまな問題が生じています。

いい換えれば、この自然循環を理解すると、何が環境に「優しいか」ではなく、「正しいか」がわかり、目指すべき方向性が見えてきます。また自然規律は、スウェーデンでも、日本でも、同じルールが当てはまるのです。

現在、議論されている循環として、次の2つを理解する必要があります。

  1. バイオサイクル:すべてのモノは最終的には自然界に戻り、資源として生まれ変わらなければならない(Return・還す)
  2. テクニカルサイクル:モノを人間社会のなかでできる限り循環させること(Reduce・減らす、Reuce・再利用、Recycle・リサイクル)

スウェーデン全国で導入が進む環境循環型バス。ジャガイモやバナナの皮など(バイオガス)で走ります。1kgの生ゴミで約2kmの走行ができるといわれています

日本ではテクニカルサイクルについて議論されることが多いですが、「循環型社会」よりも、「環境循環型社会」として捉えることが重要だといえます。

スウェーデンでは、環境循環に存在するルールに従った取り組みが推進されています。その代表的なルールのひとつは「地下から地上の資源に切り替える」ことです。

例:石油、プラスチック、天然ガス=地下。風、ガラス、竹、生ゴミ=地上。

環境学者ヨハン・ロックストローム氏の「SDGsケーキ」

SDGsの取り組みにおいても同様です。上の図は、スウェーデンの環境学者が提唱するSDGsの連関図で、通称「SDGsケーキ」と呼ばれています。安定した環境(環境循環、生態系)は、健康的な社会や持続可能な経済の発展の基盤であることを示しています。

原理原則の共通理解ができたら、アクション開始です。

異なる取り組みにも、共通する特徴があります。特に重要な4項目をご紹介します。

1. VISION(ヴィジョンづくり)

「できるか、できないか」ではなく、どういう未来をつくりたいか、についてのヴィジョンを持つことです。1996年にスウェーデンは国の目標として、「2021年までにサステナブルな社会を実現する」というヴィジョンを掲げました。ここで活用されたバックキャスティングと呼ばれる手法は、ヴィジョンづくりで世界的に広く使われるようになりました。

SDGsは、2030年にむけた世界ヴィジョン。これを基に、企業も自社ならではのヴィジョンを持つことが大切です。

2. CONSENSUS(コンセンサスを得る)

ヴィジョンが固まったら、より多くの人々の理解とコンセンサス(合意)を得る必要があります。レミスと呼ばれる手法は有名ですが、そのほかにもさまざまな方法で、社会や組織内の合意形成を行っています。

合意形成の過程では、わかりやすいコミュニケーションなど発信側の努力とともに、受け手側の自主性や参画意識も大切な要素です。

余談ですが、SDGsのロゴはわかりやすさ、親しみやすさ、美しさで高い評価を得ていますが、スウェーデンのデザイナーが手がけたことはご存じでしたか?

3. MEASURE IT (測定する)

サステナビリティや環境保護も計らなければ、「体重計のないダイエット」と同じです。「直感」だけでの活動は、結果が出にくい。しかもグリーンウォッシュ、SDGsウォッシュのリスクも高まります。

数値を把握することで、目標を社内や関係者内で共有できる、達成感が得られる、改善策が立てやすくなるなどのメリットがあります。

正しい測定項目を設定することも重要です。自社の都合で項目を選ぶのではなく、SDGsの数値目標や第三者認証で求められている基準などを参考に設定します。

第三者認証のラベル一例

スウェーデンでは、さまざまな商品、サービスで第三者認証ラベルを取る企業が増えています。これも「計る」こと。サステナビリティに関する約100ほどの基準を達成すれば、認証を受けることができます。

スウェーデン政府もSDGsにコミット。ところでSDGs目標5はジェンダー平等。現在、大臣の半分が女性です。日本の進捗は?

4. COMMUNICATION(コミュニケーション)

幅広いステークホルダーとともに、継続した取り組みを行うために欠かせないのがコミュニケーション、教育です。スウェーデンは、一方的な情報発信ではなく、受け手に気づきを与えるナッジングコミュニケーションや、自ら考え行動することを促す教育を得意としており、サステナビリティの分野でも面白い事例が数多く生まれています。

以上、今回はスウェーデンがサステナビリティ分野でリードする強さの秘訣をご紹介しました。次回は、スウェーデン企業の事例やコミュニケーションについてご紹介します。どうぞお楽しみに。

記事の公開期限:2019年11月30日

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