Sustainable development goals

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地方創生に期待、地域の課題解決にSDGsを活用する

記事提供:環境ビジネス

SDGsは、地方自治体にとっても地方創生という観点から、大いに活用できる枠組みだ。SDGsと地方創生にかかわる国の施策について、内閣府地方創生推進事務局にてSDGs未来都市や自治体SDGsモデル事業等の推進にかかわる、遠藤 健太郎氏の講義を紹介する。

SDGsに対する日本政府の取り組み ~ 3つの柱

「持続可能な開発目標(SDGs)」では(1)普遍性、(2)包摂性、(3)参画型、(4)統合性、(5)透明性の5つが重視されています。(1)は途上国・先進国含めすべての国が対象となること、(2)は『誰一人取り残さない』に代表される理念、(3)はあらゆるステークホルダーの参加、(4)は経済・社会・環境の3側面からの統合的な取り組み、(5)は取り組みのフォローアップを行うということなどを示します。

さまざまに関係し合う複雑な課題を解決するための羅針盤として定められたのがSDGsであり、各国政府や企業、さまざまな市民社会が取り組みを進めていますが、SDGsの推進には大きな成長のチャンスが秘められています。

日本政府では、国としてSDGsを推進するため、2016年の5月に総理大臣を本部長とするSDGs推進本部を設置しました。すべての国務大臣がメンバーであり、この推進本部がSDGsの実施指針の策定などを行っています。2018年は日本のSDGsモデルを構築する年として位置づけられ、国内外への発信が主要な取り組みとなりました。

日本におけるSDGsにおいては、大きく3つの柱があります。

『拡大版SDGsアクションプラン2018』では第1に「SDGsと連動する『Society 5.0』の推進」があり、イノベーションを通じて新しい社会の創造を目指します。2つめはSDGsを原動力とした地方創生の推進です。これについて内閣府で進めているのがSDGs推進モデルを構築し、普及推進を支援する事業で、「SDGs未来都市」の選定・支援等を行っています。3つめは次世代・女性のエンパワーメントであり、この3つが政府の取り組みの柱となります。

地域の課題解決にSDGsを活用

人口減少という状況に対し、この先いかに地域が発展し、さらに国全体として発展していくかが大きな課題です。

SDGsを活用して地方創生を進める意義、特に自治体においてSDGsを進める意義は、(1)将来のビジョンづくり、(2)体制づくり、(3)各種計画への反映、(4)関係者(ステークホルダー)との連携、(5)情報発信と成果の共有、(6)ローカル指標の設定、にSDGsの枠組みが利用できることにあります。SDGsの目標年度である2030年、自分たちの自治体がどうあるべきかを構想し、そこからのバックキャスティングで計画を定めたり、各種の政策をSDGsゴール・ターゲットへ落とし込む、またステークホルダーとの共通言語としてSDGsを活用することができます。

また、それぞれの地域には地域ごとの優先的な課題があります。それは高齢化対応であったり防災対策であったりとさまざまですが、これらの課題への対応を考えるとき、SDGsに則って経済・社会・環境の3側面から総合的に政策を進めることで相乗効果を生み、政策全体が最適化され、課題解決に向かうことができます。

ぜひ、SDGsを活用していただき、地方創生の目標である人口減少と経済縮小の克服という課題に取り組んでいただきたいと思います。

地方創生とSDGsを連携させる事業

2018年6月15日に閣議決定された「まち・ひと・しごと創生基本方針2018」では、地方創生の推進にあたりSDGsを主流化すること、また、経済・社会・環境の3側面の課題に統合的に取り組むということなどが掲げられました。

具体的な取り組みは次の3つで、1つは、地方公共団体に対する普及促進活動の展開。SDGsの認知度向上のためさまざまなイベントなどを行います。2つめはSDGs達成のためのモデル事例の形成です。成功事例を作り出し、国内の地域への普及展開を目指します。3つめがSDGsを活用した官民連携の促進です。このために「地方創生SDGs官民連携プラットフォーム」を立ち上げ、官民連携による事業の創出を促進する政策を推進しています。

「SDGs未来都市」「自治体SDGsモデル事業」は前述の2つめ、モデル事例の普及展開のための事業です。全国からの公募により、SDGs達成に向けた取り組みを行う自治体29を選定し、未来都市としました。なかでも、特に先導的な事例10については自治体SDGsモデル事業として資金的な支援などを行うこととしています。

選定にあたっては、3つの観点で評価が行われています。1点めは、経済・社会・環境の3側面の統合的な取り組みによる相乗効果を生むようなプロジェクトであること、2つめは自律的な好循環の構築、例えば民間事業者の参入などを促して自律的な発展が促されるものであること。3つめは多様なステークホルダーとの連携がなされていることです。

遠藤 健太郎氏 内閣府 地方創生推進事務局 参事官
1990年東工大大学院修了、通商産業省(現経済産業省)入省。1995年ハーバード大ケネディ行政大学院修了。経産省産業技術環境局京都メカニズム推進室長兼地球環境技術室長、同省資源エネルギー庁新エネルギー等電気利用推進室長兼燃料電池推進室長、同省製造産業局製鉄企画室長、同省関東経済産業局資源エネルギー環境部長、復興庁参事官などを経て、2017年7月から現職。

地方創生という文脈でSDGsを推進する際のポイントは、経済・社会・環境の3側面での統合的な取り組みです。それぞれの地域には異なった課題がありますが、それを経済・社会・環境の観点から点検し、何が重要な課題かということを把握していただきたいと思います。

17のゴールすべてに対応しなければならないわけではありませんが、優先順位をつけるとともに、それぞれの取り組みが別個に進むのではなく、経済に対する取り組みが社会にとってもよい効果を、社会に対する取り組みが環境に対してもよい効果を生むように、それぞれの相乗効果が生まれるような事業を構築していただきたいと考えています。


こちらから地方創生カレッジ遠藤 健太郎氏による講義動画をご覧いただけます。

記事の公開期限:2020年04月19日

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