Sustainable development goals

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「食」の安全保障・持続可能性を考える

記事提供:事業構想

コロナ禍では物流にも制限が及んだことで、一時的に品薄になる物品が発生し、「自国内で食料を確保すること」の重要性が浮き彫りとなった。一方で、コロナ以前から食品ロスの問題にも注目が集まっている。持続可能な食料需給のバランス点は、どこにあるのだろうか。

持続可能なかたちで自給率を上げるには

2018年度の概算で、日本の食料自給率はカロリーベースで37%、生産額ベースで66%と、じりじり下降を続けている。これを受け日本政府は、令和12(2030)年度までにカロリーベース総合食料自給率を45%、生産額ベース総合食料自給率を75%に高める目標を掲げているが、農業就業人口と耕地面積は減少を続けており、課題は多い。効率がよく、環境とも共生できる生産体制の確立を目指さなければならない。

世界の穀物生産量と消費量の推移

出典:農林水産省ホームページ「世界の穀物需給及び価格の推移」

 

収穫後、小売までの段階で失われる食料

FAOの試算によると、世界中で生産される食料の約14%が、収穫後、小売に至る前の段階で失われているという。過剰生産や消費期限等の問題で食べられずに廃棄されてしまう「食品ロス」の前段階でも、失われている食料がある。増え続ける食料へのニーズを満たすには、食糧生産を増やすことに加え、こうした損失を少しでも減少させていくことが重要となる。

出典:FAO『2019年版世界食料農業白書』

 

食品ロス・廃棄はサプライチェーンのどこで起こるか

食品ロスや廃棄は、サプライチェーン上のどの段階で起きているのだろうか。FAOがまとめた2000〜2017年までの地域別データでは、収穫後、貯蔵、輸送、加工・パッケージ、卸・小売の段階別の食品ロス・廃棄の割合がわかる。課題の大きい地域や段階別に対応をとることで、より効果的な対策がとれるかもしれない。

サプライチェーン段階別・食品ロスと廃棄の割合の範囲(穀物・豆類、2000〜2017年)

出典:FAO『2019年版世界食料農業白書』

 

Comment

国連食糧農業機関(FAO)「世界の食料ロスと食品廃棄」(2011年)によると、人の消費のために生産された食品のうち、およそ1/3が廃棄されているという。量にすると13億トン。

一方で、栄養不足人口は8億人を超える。栄養不足人口比率は、SDGsの前身であるMDGsの時代に比率を減少させつつあったが、2016年度増加傾向に転じた。

食品ロスを細分化して見ていくと、サプライチェーンのそれぞれの段階で食品ロスが発生していることが、4つ目のグラフから見てとれる。流通したものの食べ残しなどのイメージがある方も多いだろうが、収穫時、貯蔵、輸送などでもそれぞれロスが発生している。

さらに食品ロスの調査は複雑でコストも要するため、年次報告がなされているのが40カ国に満たないという実情がある。食品ロスの改善・解決に向けては、まずは状況を正確に把握するというモニタリング部分についても、機会になりうる。

(SDGs総研 主任研究員・白田 範史)

記事の公開期限:2020年10月17日

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