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間接金融「ESG融資」も促進を 環境省の金融懇談会、提言を取りまとめ

記事提供:環境ビジネス

環境省は、持続可能性を巡るESG(環境・社会・ガバナンス)課題を考慮した資金の流れを一段と広げていくため、金融市場からのアプローチや取り組みの方向性などをとりまとめた、ESG金融懇談会の提言を公表した。

この懇談会は、金融市場の主要なプレーヤーが一堂に会し、国民の資金を「気候変動問題と経済・社会的課題との同時解決」、「新たな成長」へとつなげる未来に向けた強い意思を共有するとともに、それぞれが今後果たすべき役割について闊達に議論してもらうため、環境省が2018年1月に設置したものだ。

今回の提言では、まず、パリ協定と「持続可能な目標(SDGs)」が目指す脱炭素社会、持続可能な社会に向けた戦略的なシフトこそ、日本の競争力と「新たな成長」の源泉であるとの認識を示している。

その下で、直接金融(投資家から直接資金を調達する方法)において先行して加速しつつあるESG投資をさらに社会的インパクトの大きいものへと育むとともに、間接金融(銀行から融資を受けて資金調達する方法)においても地域金融機関と地方自治体等の協働と、グローバルな潮流を踏まえた金融機関の対応によりESG融資を実現する必要があることが確認された。そのために、自らが各々の役割を果たすと同時に、国も必要な施策を講ずるよう提言している。

提言の概要は以下の通り。

直接金融市場、もっとESG投資を加速化するには

年金基金などの機関投資家、企業、仲介業者、サービスプロバイダー、証券取引所などの市場関係者と国が、取り組むべきと考える事項についてまとめている。

ESG要素(特に「E/Environment:環境」)を考慮した金融商品の拡大に向けては、金融機関に対して、ESG要素を考慮する動きを、金融商品(株式、債券など)や不動産などのあらゆるアセットクラスに拡げていくための取り組みに努めることを期待している。

さらに国と直接金融市場関係者に対しては、環境要素を企業経営などに戦略的に取り込む優れた企業(環境サステナブル銘柄)を選定・公表する仕組みを設けることについて検討することが望まれるとした。

また機関投資家には、21世紀の受託者責任(資産保有者から資産運用を受託している機関投資家の責任)の考え方の浸透とともに、利回りなどの条件が同一又は類似であればESG関連銘柄へ投資するなど、ESG投資に関する方針を明確化することを求めている。

間接金融市場、ESG融資を促進するには

日本の間接金融中心の金融構造を踏まえ、融資においてもESGへの配慮を促していくことが、持続可能で包摂的なESG金融の拡大の鍵となるとした。

「ESG融資」とは、環境、社会、コーポレートガバナンスに考慮して行う融資をいう。たとえば、融資時の目線としてESG要素に考慮した事業性評価融資や、再生可能エネルギー事業、省エネルギー事業、リサイクル事業等の環境・社会へのインパクトをもたらす事業へ行う融資がある。

これらの融資によって、地域の社会・経済課題を同時に解決するためには、地域金融機関に対して地域の特性に応じたESG要素に考慮した金融機関としての適切な知見の提供やファイナンス等の支援(ESG地域金融)が必要であるとした。

昨今、ESG地域金融が地域の持続可能性を高めると同時に、地域金融の収益基盤の確保に資することが認識されてきている。このため、地域金融機関には、地方自治体などと連携しながら、ビジネスにつながる可能性をもった地域のESG課題を積極的に掘り起こし、ファイナンスに関する豊富なノウハウを活かして、その新たな事業構築に関与・協力していくことを求めている。

また、地方自治体には、ESG地域金融において求められる自らの役割を認識し、優れた事例などを共有しながら、自らの行動の質を高めていくべきであり、たとえば自治体版の21世紀金融行動原則を立ち上げることに期待を寄せている。

ESG金融リテラシーの向上、研究などにも施策

ESG金融または環境・社会事業に積極的に取り組む機関投資家、金融機関・仲介業者・企業などについて、国はその取り組みを評価し、表彰する仕組みを設けることなどを求めている。

また、金融・投資分野の各業界トップと国が連携し、ESG金融に関する意識と取り組みを高めていくための議論を行い、行動する場として「ESG金融ハイレベル・パネル」(仮称)を設置し、取り組み状況を定期的にフォローアップしていくことなどを提言している。

近年、パリ協定やSDGsを背景に、世界でESG投資が一大潮流となる中、日本でもESG投資が広がりつつある。

投資家と企業の間の対話をさらに充実させていくことなどを通じ、その裾野を広げ、投資先企業における環境行動を一層促していくことが期待されている。また、間接金融においては、経営として環境金融に取り組んでいる銀行は一部にとどまっているのが現状である。今後、特に地域において環境金融が広がることにより、環境と経済の両方の観点から地域の持続可能性が高まっていくことが期待される。

年金資産や預金といった国民の資金を、環境課題と経済・社会的課題の同時解決に向けた取り組みへと導くためには、長期的視点からお金の流れを変えて持続可能な社会を築いていこうという関係者の強い意思が必要である。

そこで、環境省はESG金融懇談会を設置し、議論を行い、今回とりまとめた最終的な提言を公表した。

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