Sustainable development goals

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2030年SDGs達成に企業の力は不可欠 

2015年の「国連持続可能な開発サミット」で採択されたSDGs(持続可能な開発目標)。「世界を変革する」「誰一人取り残さない」といったスタンスを核に2030年に向け 世界が取り組むべき17の目標と169のターゲットで構成されている。SDGsの概要と企業経営への活かし方について国連大学上級副学長、国際連合事務次長補 沖 大幹氏が講演した。

企業価値毀損回避のためのチェックリストとして活用

従来の国連の開発目標が途上国向けだったのに対し、SDGsは、先進国内での“格差”にも取り組むことが掲げられており、また「169ものターゲットがあると、その中で、自分たちの仕事につながることがある」(国連大学上級副学長、国際連合事務次長補沖 大幹氏)ため、結果として幅広い人に受け入れられつつあるものになっている。

このSDGsに、企業はどのように取り組めばよいのか。まず前提として押さえることは、「企業の立場からみてもSDGsに貢献するのが合理的」(沖氏)ということ。企業にとって最も大切なことは事業を継続することで、SDGsが目指す紛争や大規模自然災害がなく安定した社会は、それに必要不可欠だからだ。

また、企業がSDGsに取り組むポイントとして、沖氏は「すべてに取り組む必要はないが、すべてを気にする必要がある」と述べる。「実際の企業の取り組みを見るとできるだけ多く目標に自社の事業を絡めることを評価する傾向にあるが、得意分野を活かすことがより大きな貢献につながる」(沖氏)ためだ。

その一方で見逃せないのが「SDGsのなかで、自分たちが取り組めていない点に目をつむるような姿勢は批判される可能性がある」(沖氏)ということ。これは、SDGsが“soft law(社会的規範)”として位置づけられつつあるため。「確かにSDGsは『パリ協定』のような法的拘束力はないが、肌感覚としてSDGsで掲げられている目標は、欧州では当たり前のことになりつつある。つまり、SDGsに取り組まないことは、企業価値の毀損につながる可能性もある」(沖氏)のだ。このような考えから、沖氏は、「SDGsを企業価値の毀損回避のためのチェックリスト」として活用することを提言している。

次のビジネスチャンスが見えてくる

また上記は、いわば企業にとって「守り」の姿勢であるといえるが、その一方で、SDGsを企業経営の「攻め」のツールとして活用してくことも可能だとしている。「各国政府が取り組む次の投資先が見えるため、世界的なビジネスターゲットが見えてくる」(沖氏)。つまり、「次のビジネスチャンスの見極め」としてSDGsを活用しない手はないのだ。

実際に、世界のトップ250社(G250)と世界49カ国それぞれのトップ100社(N100)における、「消費者レポートでの持続可能性への言及割合」を比べると、G250では、93%であるのに対し、N100は75%の言及となっている(図1)。そして、G250の増加率をN100 が追う形が続いているのがわかる。つまり、世界のトップ企業は既にSDGsを企業戦略に組み込んでおり、その流れは世界的にも広がりを見せているのだ。

同じような流れは、日本でも起きている。2017年に経団連の企業行動憲章がSDGsの理念を含んだ形で改定されたが、注目はそこで「グループ企業、サプライチェーンの行動変革」についても触れられていること。つまり、SDGsへの取り組みは、日本全体の流れになりつつあると言えるのだ。

消費者レポートでの持続可能性言及割合

(図1)消費者レポートでの持続可能性言及割合

重要なのは本業として取り組むこと

沖氏はまた、「本来業務、基幹事業を通じていかに企業がSDGsの戦略的な達成ができるかということが重要」と話す。過去このような取り組みは、「メセナ」や「CSR」と言われ、「いわば企業利益を還元するというスタンスでもあった」(沖氏)。しかし、SDGsにおいて重要なのは、これを本業として取り組むこと。SDGsを達成するための行動指針である「SDGコンパス」(図2)には、「経営統合」の項目が設けられており、沖氏「このなかでも最も重要なのは、経営統合」(沖氏)であると指摘する。

SDGsの原型を作った、アナン元事務総長は、国際問題の解決には、人的・経済的なリソースを豊富に持つグローバル企業の協力が欠かせないと考えていた。SDGsはその策定過程からグローバル企業も参画しており、そこでは積極的な提案がなされてきた。つまり、SDGsはもともと企業活動との親和性が高いものと言える。沖氏はこの策定の流れを説明しつつ、今後の日本企業に期待することとして、「私たちのビジネスはこんなモノやサービスを通じてこういった貢献ができると積極的に提案していって欲しい」と述べる。「観客ではなく選手としてSDGsに参加していくこと」を参加者に呼び掛けた。

(図2)SDGコンパス

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