サーキュラーエコノミー・ジャパン設立記念カンファレンス 開催
政策レベルで世界を席巻するサーキュラーエコノミー
2019年9月12日、東京都千代田区の御茶ノ水ソラシティカンファレンスセンターにて、一般社団法人サーキュラーエコノミー・ジャパン設立記念カンファレンスが開催された。
基調講演として、一般社団法人サーキュラーエコノミー・ジャパン代表理事の中石和良氏が登壇、サーキュラーエコノミーの概念や世界における動向を解説した。
中石氏はサーキュラーエコノミーを現在の日本で多く行われているリサイクルエコノミーとはまったく別のものであると指摘。①人と環境に影響を与えない製品・サービスの設計(Design)、②資源を使い続ける(Keep)、③自然を再生させる(Regenerate)という3点が重要であるとした。
また、すでにEU諸国やカナダ、アメリカ諸都市、中国などでは政策としてサーキュラーエコノミーに全面的に取り組む動きが進んでいることも紹介。世界的な潮流を豊富なデータとともに紹介した。
EU諸国だけでなく、北米や中国でも政策レベルでサーキュラーエコノミーへの取り組みが進んでいることを解説する、一般社団法人サーキュラーエコノミー・ジャパン代表理事の中石和良氏
続いて、環境省 大臣官房 環境計画課の中島恵理氏が登壇。環境省が提唱する地域循環共生圏とサーキュラーエコノミーやSDGsとの関連を解説し、地域版のSDGsとも言える地域循環共生圏の実現に向けて、企業活動に大きな期待が寄せられていると語った。
環境省 大臣官房 環境計画課の中島恵理氏は、同省が提唱する「地域循環共生圏」がサーキュラーエコノミーやSDGsとも合致する概念であることを紹介した
キーワードは「消費者のライフスタイル変革」
第二部では再生可能エネルギーや建築、睡眠環境、農業、外食といったさまざまな業種の企業から、サーキュラーエコノミーに取り組む事例が発表された。
この日事例の報告を行った多くの企業に共通していたことは、自社のサービスを通じて「消費者のライフスタイルに働きかける」こと。
使い捨てでもリサイクルでもない循環型経済を実現するためには、ひとりひとりの日常の行動、考え方までが変わる必要があることが示された。
基調講演・事例報告の合間には登壇者や聴講者の間で活発な意見交換・ネットワーキングも行われ、サーキュラーエコノミーへの関心が高い層のつながりを創出する場ともなった。サーキュラーエコノミー・ジャパンの設立により、日本でのサーキュラーエコノミーの普及・定着が進むことが期待される。
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