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花王と京大 使用済み紙おむつを炭素化、素材として産業利用へ

記事提供:環境ビジネス

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花王(東京都中央区)は1月14日、京都大学(京都府京都市)と、ごみとして主に焼却処理されている使用済み紙おむつを炭素素材へ変換するリサイクルシステムの確立に向け、1月から愛媛県西条市で実証実験を開始すると発表した。

この研究手法では、使用済み紙おむつを回収前に炭素化する「炭素化装置」を開発する。装置開発におけるポイントは、少ないエネルギーインプット(低温反応)で、短時間で効率的に炭素化し、殺菌・消臭しながら体積を減らす点だという。これにより、衛生面の課題解決に加え、体積が減るため回収頻度を減らすことができる。

使用済み紙おむつを燃やす際にはCO2が発生するが、炭素化する場合は炭化物に炭素が固定化されるため、発生するCO2を削減することができ、環境負荷低減につながる。また、炭素化装置により炭素化した使用済み紙おむつの炭素素材への変換に向けた研究技術開発を進める。

(出所:花王)

実証実験では、サニタリー製品の供給拠点である愛媛工場(花王サニタリープロダクツ愛媛)のある西条市の協力のもと、使用済み紙おむつが発生する現場である保育施設1カ所でリサイクルに取り組む。

1月から、介護施設で利用実績があるおむつ処理装置を設置し、発生するごみの量や作業量、継続性など現場における運用面の課題を確認すると同時に、おむつ処理装置を基盤として、炭素化装置の開発も進める。

4月以降、開発した炭素化装置を設置し、使用済み紙おむつを殺菌・消臭、体積を減らしたうえで回収する。炭素化した使用済み紙おむつは容積が小さいため、回収頻度は月1~2回と少なく済み、回収後は、環境浄化や保育施設の園庭での植物育成促進に活用する。また、活性炭などの炭素素材への変換をめざし、研究開発を進めていく。

2025年以降にシステムを社会実装

今回の実証実験を通して、使用済み紙おむつを炭素素材へ変換し、CO2排出量削減による環境負荷低減やSDGs達成に貢献していく考えだ。得られた知見は、国内の都市、プラスチックごみ問題が深刻な東南アジアをはじめとする海外に展開し、より広い範囲での使用済み紙おむつの課題解決に役立てていくとしている。

今後、紙おむつを炭素化した素材の産業利用を進めると共に、空気・水環境の浄化、植物の育成促進への活用など地球環境改善につながる研究技術開発をさらに推進していく。リサイクルシステムの社会実装は、2025年以降を予定している。

使用済み紙おむつの課題を解決

花王は、今回の取り組みの背景について、以下のように説明している。

使用済み紙おむつは、現在、年間200万トン以上がごみとして主に焼却処理されており、燃えるごみの4~6%を占めるといわれている。また、多くの水分を吸収しているため、焼却炉の燃焼効率を悪化させる原因になっているケースもある。今後、高齢化による大人用紙おむつの使用量増加に伴いごみの量が増え、環境に与える影響が大きくなると予想されており、有効なリサイクル技術の確立が期待されている一方で、実現には多くの課題がある。

使用済み紙おむつリサイクルの抱える主な課題として、(1)排泄物を含み保管・回収・運搬時にかさばる、衛生面で頻繁な回収が必要となる、(2)紙おむつはパルプと多種のプラスチックで構成されており、リサイクルに必要な種類ごとの分離が技術的に難しい側面がある、ことをあげている。これらの課題を克服するため、「使用済み紙おむつの炭素化リサイクルシステム」の確立に向けた実証実験を開始することとした。

記事の公開期限:2021年03月18日

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